生産者

シャトー・ド・ミラ

Château de Myrat

全樹引き抜きから復活した唯一の格付けシャトー。1988年再生のバルサック第2級

シャトー・ド・ミラは、ボルドー格付け1855年において第2級(ドゥジエム・グラン・クリュ・クラッセ)に選定された歴史ある甘口ワインの名門シャトーです。ボルドー市街から南東約40kmに位置するバルサック村にあり、ソーテルヌ・アペラシオン内に属します。シャトーは1730年にドゥミラ家が建設し、その名前がシャトー名の由来となりました。1937年にシャトー・オー・ブリオンの創業一族として知られるドゥ・ポンタック家が取得。1960年代に困難なヴィンテージが続いたことから、オーナーのマックス・ドゥ・ポンタックは1976年、格付けシャトーとして前代未聞の決断をくだし、畑のすべての樹を引き抜きました。シャトーは廃業状態となり、1988年4月にマックスが死去するまで荒れ果てたまま放置されました。マックスの死後、パリで生活していた子供たちのジャックとグザヴィエ・ドゥ・ポンタックは、数ヶ月以内に植栽権が失効するという緊急事態に直面。わずか数週間で22ヘクタールを整備し、15万本の苗木を選定・植栽、醸造チームを組成してセラーを修復するという離れ業を成し遂げました。1991年が新植後初のヴィンテージとなり、1995年以降に本来の品質が安定。現在は第3世代のスラニ(運営)とエリザベット(マーケティング)という姉妹が当主を務めています。22ヘクタールの畑は、30cmの粘土質が石灰岩の上に広がるバルサック典型の石灰岩-粘土土壌で、セミヨン88%、ソーヴィニヨン・ブラン8%、ミュスカデル4%を栽培。ボトリティス菌(貴腐)の付いたブドウを複数回に分けて手摘みし(トリ)、各回分を別々に圧搾・発酵させます。ワインはバルサックらしいフィネスが際立ち、キャンディド・アプリコット、オレンジマーマレード、白い花、蜂蜜、生姜、トースト・ブリオッシュの香りに、石灰岩テロワールが生む特有の清涼感と長い余韻が続きます。ソーテルヌの一部より残糖量が低く、上品でミネラリーなスタイルが特徴です。

www.chateaudemyrat.fr

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こんな方に

ソーテルヌ・バルサックの愛好家の中でも、過剰な甘さよりもエレガンスとフレッシュさを好む方に最適です。バルサックならではのミネラリーで残糖量が控えめなスタイルを、隣接するソーテルヌのより濃厚なワインと比較して楽しみたい方にも向いています。全樹引き抜きからの奇跡的な復活という稀有なストーリーも魅力で、ワインに人間ドラマを求める愛好家の心を惹きつけます。フォアグラ、ロックフォールなどのブルーチーズ、ロブスター・牡蠣などの甲殻類、スパイシーなアジア料理、寿司との相性が抜群。シャトー・ディケムほどの重厚さや価格を求めず、貴腐ワインを初めて探求したい方にもおすすめです。

よくある質問

なぜ1976年に全ての樹を引き抜いたのですか?
1960年代に商業的に厳しいヴィンテージが続いたため、オーナーのマックス・ドゥ・ポンタックは甘口ワインの生産継続が経済的に成り立たないと判断しました。1976年に格付けシャトーとして前例のない畑の全面撤去を決断。1988年4月にマックスが死去すると、子供たちのジャックとグザヴィエが植栽権の失効前にわずか数週間で畑を整備・再植栽し、シャトーを復活させました。
バルサックのワインはソーテルヌの他の産地と何が違うのですか?
バルサックはソーテルヌAOC内で自らのコミューン名をラベルに記せる唯一の村です。土壌は「アステリー石灰岩」と呼ばれる亀裂の多い石灰岩が主体で、ミネラリーな清涼感と軽やかなボディを生みます。内陸部の粘土・砂質のソーテルヌより残糖量が低く、フレッシュで上品なスタイルが特徴。シャトー・ド・ミラはこのバルサック・スタイルの体現者で、柑橘系の爽快感と花のニュアンスが際立ちます。
どんなブドウ品種を使っていますか?
22ヘクタールの畑にセミヨン88%、ソーヴィニヨン・ブラン8%、ミュスカデル4%を栽培しています。皮の薄いセミヨンは貴腐菌の発生に最適で、ワインの豊かさと芳香の複雑さを担います。ソーヴィニヨン・ブランはフレッシュさと酸を加え、ミュスカデルはフローラルでマスキーなアロマを与えます。
どんな料理に合いますか?
フォアグラとの組み合わせは定番中の定番。ワインの甘さ・酸・リッチさがフォアグラの脂を絶妙に引き立てます。ロックフォールをはじめとするブルーチーズも塩味とクリーミーさがワインの甘さと対比して絶品。牡蠣やロブスターなどの甲殻類、スパイシーなアジア料理、寿司・刺身、豚・仔牛の甘みのあるロースト、ダークチョコレートのデザートとも好相性です。提供温度は10〜12℃が目安。
いつ飲み頃になり、どのくらい熟成しますか?
収穫後5〜8年でフルーティな爽快さが楽しめますが、優れたヴィンテージ(2001・2009・2011・2015年など)は15〜25年の熟成で格別の複雑味を発揮します。熟成が進むとオレンジマーマレード、トリュフ、蜜蝋、ドライアプリコットの層が現れます。保存は12〜14℃の暗所が理想です。